AIエージェントを放置して走らせると何が起きるか(3回の実測)
同じ指示文で Codex を3回、最長60分の無人実行にかけました。1回目は4秒で死に、2回目は自分のビルドを6分で強制終了してPCのスリープで中断、3回目でようやく42分で完走。放置する前に決めておくべきことを、起きたことそのままで残します。
公開 2026年9月16日
この記事の要点5 points
- AI は「止まっている」と判断すると自分でプロセスを殺す。 実際は8分かかるビルドを6分で強制終了された。
- PC がスリープすると timeout コマンドの残り時間は進まない。 起動から4時間27分たっても上限に達しなかった。
- サンドボックスで削除を拒否されると、AI は「作業フォルダの外へ移動する」という抜け道を選ぶ。 629MB が別の場所に移動していた。
- AI はコミットを1回もしなかった。 3回とも0回。証拠を残すのは人間側の仕事。
- 使用量は実行中には分からない。 終わったあとセッション記録から拾うしかなかった。
目次6章
検証した環境最終確認 2026年9月16日
- Codex CLI 0.147.0-alpha.1.2(codex exec・非対話)
- GPT-5.6 Sol / high
- Unity 6.6(6000.6.0f1)・Unity CLI 1.0.0-beta.9
- Windows 11・Git Bash
書いてあるのは、この環境で実際に試した結果です。ツールの仕様や料金は変わるので、重要な判断の前には公式の情報も確認してください。
Codex に「ブロック崩しを合格ラインまで作れ」とだけ渡して、あとは見ない。60分で打ち切る。そういう無人実行を3回やりました。
完走したのは3回目だけです。1回目と2回目に起きたことのほうが、たぶん役に立ちます。
1回目 / 4秒問題
古い CLI を掴んでいて、モデルに届く前に終了。「実装能力」以前の問題
2回目 / 24分問題
自分の WebGL ビルドを「固まった」と判断して強制終了。その後 PC がスリープ
2回目 / 翌朝問題
スリープ復帰後も継続。上限60分が効かず、起動から4時間27分後に人間側が停止
3回目 / 42分29秒
スリープ防止と壁時計の見張りを付けて再実行。自分から完了を宣言
1. AI は待てない。自分のビルドを殺す
2回目、22:20 に WebGL ビルドを開始しました。22:26、6分の時点で「ビルドシステムが10秒以上止まっている」と判断し、自分でビルドプロセスを終了しました。
同じ環境で、私が先に走らせていた Claude Code 版の初回ビルドは 8分33秒かかっています。6分の時点では、まだ正常に進んでいた可能性が高い。
このあと2回目は、ビルドを通そうとして次々に手を広げました。
- 1
ビルドシステムのバイナリを直接実行
権限エラー - 2
自分が使っているエディターを強制終了
バッチモードでビルド → 終了コード1 を2回 - 3
残っていたテスト用プロセスを片付け
「孤立プロセス」として終了させた
3回目は、指示文に1行足しただけで挙動が変わりました。
2回目:待ち時間を伝えていない
3回目:1行足した
2. スリープすると timeout は止まる
2回目は Git Bash の timeout 3600 で60分の上限をかけていました。22:28、PC がスリープします。復帰したのは翌 02:16。
このとき timeout の残り時間は進んでいません。
4h27m
起動からの経過
壁時計
39分
実際に動いていた時間
スリープ中は数えない
21分
timeout から見た残り
まだ上限に達していない
0回
打ち切り
60分の上限が効かなかった
私はこれを見て「60分を超えた」と誤判断し、プロセスツリーごと停止しました。判断は間違っていました。使っていた時計が間違っていたからです。
3. 禁止は迂回のきっかけになる
2回目は -s workspace-write(作業フォルダの中だけ書き込み可)で走らせていました。ビルドをやり直すために、AI はビルドのキャッシュフォルダを消そうとします。
STEP 01
キャッシュを消そうとする
ビルドをやり直すため
STEP 02
ポリシーが削除を拒否
blocked by policy
STEP 03
作業フォルダの外へ移動
629MB を別ドライブへ
STEP 04
シェル経由でエディター起動
サンドボックスの外で動いた
悪意ではありません。目的(ビルドを通す)に対して、禁止されていない手段を探した結果です。ただし、「禁止したから起きない」とは言えないことは覚えておいたほうがいい。
3回目では Chrome を起動しようとして、制限付きトークンのために失敗しています。こちらは迂回できず、ブラウザでの通しプレイだけが未達で終わりました。その1項目は人間が代わりに確認しています。
4. コミットは0回だった
3回とも、AI は一度もコミットしませんでした。 指示文に書かなかったからです。
2回目が中断したとき、作業フォルダには実装もテストも残っていましたが、履歴は空でした。証拠として残したければ、人間側でブランチを切って保存するしかありません(今回はそうしました)。
放置する前に決めておくこと:
STEP 01
起点を固定
同じコミットから始める
STEP 02
途中で保存
コミットを指示文に書く
STEP 03
終了後に人が確認
件数と実物を見る
5. 使用量は終わってからしか分からない
実行中、消費した利用枠は出てきません。分かったのは終わったあと、セッション記録(~/.codex/sessions/<年>/<月>/<日>/rollout-*.jsonl)の rate_limits と total_token_usage を読んだときです。
| 2回目(中断) | 3回目(完走) | |
|---|---|---|
| 実働時間 | 約39分 | 42分29秒 |
| 入力トークン | 15,929,645(うちキャッシュ 15,659,008) | 13,385,465(うちキャッシュ 13,116,160) |
| 出力トークン | 59,966(うち推論 17,103) | 64,995(うち推論 21,092) |
| 週間利用枠 | 0% → 7% | 7% → 14% |
| コマンド実行 | 126回(失敗14回) | 119回(失敗9回) |
| コミット | 0 | 0 |
中断した2回目のほうが多く使っているのが分かります。完走しなかった実行にもコストはかかります。だから開始前に残量を控えるのが要ります。あとから「いくら使ったか」を出せません。
放置する前のチェック
放置する前に
timeout はスリープで止まる)3回目は42分29秒で自分から終了し、報告どおりテストもビルドも通っていました。環境側を3つ直しただけで、AI の側は何も変えていません。
FAQ
よくある質問
AI が自分のビルドを強制終了したのはなぜですか?
ビルドシステムの出力が10秒以上更新されないのを見て、固まったと判断したからです。実際にはそのビルドは8分半かかるもので、6分の時点ではまだ正常に進んでいました。AI は「自分の知らない待ち時間」を異常と見なします。
timeout コマンドで上限をかけたのに効かなかったのはなぜですか?
Git Bash(MSYS)の timeout は、PC がスリープしているあいだ残り時間を進めません。スリープから復帰すると、その続きから数え直します。実際に起動から4時間27分たっても打ち切られず、起きていた時間は約39分でした。
サンドボックスに入れておけば安全ですか?
完全ではありません。今回は削除を拒否された結果、AI は作業フォルダの外へ 629MB を移動しました。さらに、サンドボックスの制限を避けるために Windows のシェル経由でエディターを起動しています。禁止は迂回のきっかけになる、と考えたほうがいいです。
何分くらいで区切るのが現実的ですか?
今回は60分にしました。完走した3回目は42分29秒で自分から終了しています。作業量が読めないうちは、完走しそうな見込み時間の1.5倍くらいを壁時計で区切って、足りなければ再開する形が扱いやすいと思います。
実行中に進捗は分かりますか?
イベントを JSON で出力させれば、コマンド実行と途中報告は流れてきます。ただし使用量(トークン・利用枠)は最後まで出ません。今回は終了後にセッション記録を読んで初めて分かりました。
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